パソコンで作業をしていると、「この部分だけをすぐにキャプチャして、他のウィンドウと見比べたい」という場面は多くあります。
そんなときに便利なのが、軽量で直感的に操作できるフリーソフト Rapture(ラプチャー) です。
範囲をドラッグするだけで指定部分が独立したウィンドウとして表示され、最前面に固定できるため、まるで“デジタル付箋”のように活用できます。
本記事では、Raptureの特徴や利用シーン別の便利な使い方、さらに他のキャプチャツールとの比較までわかりやすく紹介します。
Raptureとは──切り取った画像を“付箋”のように使える軽量キャプチャツール
Raptureは、パソコン画面の一部分を素早く切り出し、そのまま独立したウィンドウとして表示できるシンプルなキャプチャソフトです。
Windows 95の時代から長く支持されており、現在もVectorなどから無料で入手可能。数百KBという非常にコンパクトなサイズで、インストール不要の手軽さが特徴です。
他のキャプチャソフトと異なる「付箋化」の発想
Raptureの魅力は、ドラッグで指定した範囲を即座にウィンドウ化し、最前面に固定できることにあります。
複数の資料を参照しながら作業する際、ウィンドウを何度も切り替える必要がなく、作業効率が大幅に向上します。
さらに複数のキャプチャを同時に表示することも可能です。必要な情報をいくつも並べて貼り付ければ、まるでデジタル付箋のように利用できます。
USBメモリから直接起動できるポータブル仕様もポイントです。動作が軽く、社内PCやレンタル機でもレジストリを汚さず使用できます。
快適さを支えるシンプルな設計
Raptureは機能を必要最小限に絞り、起動時に余計なプロセスを常駐させません。
起動ボタンを押せば、ほぼ一瞬でキャプチャ可能な状態に。
レビューでも「起動速度」「軽さ」「安定性」に高い評価が寄せられています。
高機能なSnipping ToolやShareXと比べても、この軽快さは際立っています。
Raptureの主な機能
キャプチャと表示
マウスで範囲をドラッグするだけでスクリーンショットが生成され、そのまま新しいウィンドウに表示されます。
ピクセル単位での正確な選択が可能で、余計な操作を必要としません。
ウィンドウ操作
表示された画像はドラッグで移動やリサイズが自由自在。
右クリックメニューからは保存(BMP/JPG/PNG)、コピー、印刷といった基本操作をすぐに行えます。
保存形式と互換性
初期設定ではBMP形式ですが、JPEGやPNGも選べるため、用途に応じて保存方法を変更可能。
Web用の軽量画像から印刷用の高解像度まで幅広く対応します。
簡易編集機能
本来はキャプチャと表示に特化したツールですが、補助的な編集も可能です。
ペンによる簡単な描画、テキスト挿入、回転や反転など、ちょっとした注釈なら追加ソフトなしで完結します。
Raptureのダウンロードと導入手順
1. 配布サイトを選択
Raptureは、公式配布元である Vector から最新のZIPファイルを入手できます。
ここではウイルスチェックも行われており、安全性が確認されています。
また、窓の杜(Impress Watch)では旧バージョンのアーカイブも閲覧でき、過去の更新履歴を確認したいときに便利です。
その他、Softonic や作者によるミラーサイトからも入手可能ですが、改変ファイルが混入していないか、ダウンロード後は必ずハッシュ値の確認やウイルススキャンを行いましょう。
2. ZIPファイルのダウンロードと展開
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上記いずれかの信頼できるサイトで「Rapture ダウンロード」と検索し、ZIPファイルを保存します。
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ダウンロードしたZIPファイルを右クリックして [すべて展開] を選択し、任意のフォルダーに解凍します。
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フォルダー内の
rapture.exe
がソフト本体です。インストーラー形式ではないため、レジストリを汚すことなく起動できます。
3. USBメモリでのポータブル運用
解凍したフォルダーを丸ごとUSBメモリにコピーすれば、他のPCでも直接起動して使用可能です。
社内PCや貸与機など、インストール制限がある環境でも問題なく利用できます。
よく使う場合は rapture.exe
を右クリックし、[タスクバーにピン留めする] を選択するとワンクリックで起動できます。
起動後に行う初期設定
Raptureを起動すると、タスクトレイにおにぎり型のアイコンが常駐します。
アイコンをクリックするとカーソルが変化し、ドラッグした範囲がそのまま独立したウィンドウとして表示されます。
また、右クリックメニューから [設定] → [保存タブ] を開くことで、デフォルトのファイル形式を PNG / JPEG / BMP から選択可能です(初期値はBMP)。
特にブログやWebで使う場合は、透明背景が扱えるPNG形式にしておくと便利です。
基本操作を順を追って解説
ステップ | 操作方法 | ポイント |
---|---|---|
① 起動 | rapture.exe をダブルクリック |
起動は非常に高速で、体感ほぼ一瞬です。 |
② 範囲選択 | “おにぎりカーソル”で切り取りたい矩形をドラッグ | ドラッグ中に Escキー でキャンセル可能。 |
③ 表示 | 指定した範囲が即ウィンドウ化し、最前面に固定されます | 複数枚並べても動作が重くならない軽快さ。 |
④ 保存 | Ctrl+S または右クリック → [保存] | ファイル名は自動で連番が付与されます。 |
⑤ 共有 | Ctrl+C でクリップボードにコピー | メールやTeamsなどのチャットにすぐ貼り付け可能です。 |
右クリックメニューでできること
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コピー:クリップボードに画像を即送信
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印刷:プリンター経由でそのまま出力
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編集:テキスト挿入、簡易描画、回転/反転などの軽い加工
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閉じる:対象ウィンドウを個別に終了し、メモリを解放
よくある質問(Q&A)
Q1. セキュリティは安全?
A. Vectorや窓の杜で配布されているものはウイルスチェック済みで安全性が高いです。念のためVirusTotalなどで確認するとさらに安心です。
Q2. キーボードから素早く起動したい
A. EXEファイルのプロパティからホットキーを設定すれば、ショートカットキーのみで起動できます。
Q3. 保存先を変更したい
A. [設定] → [保存タブ] から、保存フォルダーや自動保存の挙動を自由にカスタマイズできます。
このようにRaptureは、ダウンロードから利用開始まで非常にスムーズ。初期設定も簡単で、USBからの持ち運びにも対応するため、どの環境でもすぐに利用できます。
利用シーン別に見る「Rapture」の活用アイデア
1. 仕事での活用(マニュアル作成・資料レビュー)
● 内容を見比べながら効率よく作業したいときに最適
重要な部分だけを切り取って、そのまま画面上に“貼る”ように表示できるのがRaptureの強み。
最前面に固定できるため、いちいちウィンドウを切り替える手間が省け、比較しながらマニュアルを作成する作業などがスムーズになります。
キャプチャ操作は、ドラッグ → 自動でウィンドウ表示 → 位置やサイズを自由に調整、というシンプルな流れです。
● すぐに共有したい場面でも活躍
キャプチャ後の画像ウィンドウを右クリックするだけで、「コピー」「保存(BMP/JPG/PNG)」「印刷」が可能。TeamsやSlackなどのチャットにも素早く貼り付けられます。
2. ブログやレビュー記事の作成
● 必要な部分だけを手早く切り出せる
操作の中で特に重要なシーンだけを順番にキャプチャし、複数ウィンドウとして並べて見出し順に整理すれば、レビューやハウツー記事の執筆もはかどります。
Raptureは複数のキャプチャを同時に表示しても動作が軽快なので、表示の切り替えもストレスがありません。
● Web掲載に適した画像形式にも対応
保存形式をPNGやJPGに設定しておけば、軽量で高画質な画像をそのままブログやSNSに使うことができます。
3. 教育・プレゼンテーションでの利用
● 説明に合わせて“貼って話す”進行ができる
スライドの横に必要な画面キャプチャを貼り付けて、視覚的に説明を補足することができます。
テキスト追加や簡単な描画(蛍光ペン、回転、反転)といった注釈も可能なため、最低限の強調も手軽に行えます。
● ワンアクションで全画面を撮ることも可能
ドラッグ操作が不要なときは、Raptureをダブルクリックするだけで画面全体のキャプチャも可能。あとから必要な部分だけを残す使い方もできます。
シーン別ツール使い分け早見表
利用目的 | Rapture | Windows Snipping Tool | ShareX | Screenpresso |
---|---|---|---|---|
起動の速さ・軽さ | ◎(軽量・直起動) | ◯(標準搭載) | △(多機能でやや重め) | ◯(軽快で多機能) |
注釈・編集機能 | △(最低限) | ◯(基本的な注釈対応) | ◎(高度な編集・自動処理) | ◎(内蔵エディタ付き) |
録画・GIF対応 | × | ◯(録画対応) | ◎(FFmpeg連携で強力) | ◯(録画・マニュアル出力) |
おすすめの人 | 素早く貼って比較したい人 | 標準機能で十分な人 | 高機能をフル活用したい人 | 説明資料を一括作成したい人 |
各ツールの特徴をざっくり解説
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Rapture:画面の一部を選んで即ウィンドウ化。最前面に固定して“付箋のように”扱えるのが最大の強み。手順書や資料づくりに向いています。
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Windows Snipping Tool:Windows標準搭載のキャプチャツール。矩形・ウィンドウ・全画面など多様な切り取りに対応し、最近ではカラーピッカーやAIによる切り抜き補正など新機能も加わっています。
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ShareX:オープンソースで開発されている高機能ツール。録画・GIF作成、クラウドアップロード、自動化ワークフローなど、上級者向けの機能が満載です。
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Screenpresso:内蔵の画像エディタやドキュメント生成機能を備え、特にプレゼン資料やマニュアル作成に重宝します。操作も軽快で扱いやすいのが特長。
Raptureを使う前に知っておきたいポイント
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画像編集はあくまで簡易的
Raptureはキャプチャに特化したツールであり、Photoshopのような高度な編集はできません。必要に応じて他の編集ソフトと併用しましょう。 -
保存形式はラスター画像のみ
BMP、JPG、PNGといったラスター形式の保存に対応しています。拡大しても画質が落ちないベクター形式には対応していないため、必要に応じて変換が必要です。 -
信頼できるサイトからダウンロードを
長年の配布実績があるVectorからのダウンロードが推奨されます。ミラーサイトを利用する場合は、ハッシュチェックやウイルススキャンを忘れずに。
短縮版:用途別おすすめツールまとめ
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すばやく画面を切り取って並べたいなら → Rapture(即ウィンドウ化)
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録画や簡単な編集もしたいなら → Windows Snipping Tool(標準装備)
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ワークフローを自動化してガンガン使いたいなら → ShareX(上級者向け)
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編集から共有まで一括管理したいなら → Screenpresso(ドキュメント生成も可)
まとめ
Raptureは、画面の一部を“付箋のように”切り出して貼り付けられることをコンセプトにした、軽快でシンプルなキャプチャソフトです。
複雑な設定をせずに、最短でスクリーンショットを取り、最前面に表示して作業の効率を上げたい人にはぴったりのツールといえるでしょう。
一方で、録画機能や本格的な編集が必要な場面では、Snipping ToolやShareX、Screenpressoなどをうまく使い分けるのが賢い選択です。
用途に応じてツールを組み合わせることで、日々の作業効率をさらに高めることができます。